雪道や滑りやすい道路はもちろんのこと、日常の運転シーンでも安心と安全、さらにスポーティなドライビング体験を提供するのが、Audi独自の4WDシステム、quattro®です。縦置きエンジンに組み合わされる「セルフロッキングディファレンシャル」タイプ、電子制御式油圧多板クラッチを用いた横置きエンジンモデル用のタイプ、ミッドシップ用のタイプ、4WDクラッチを搭載し、状況によっては完全な前輪駆動車として走行できるタイプと、様々なバリエーションが存在しますが、いずれのタイプも自然で落ち着いたドライビングフィールが特徴。各社がフルタイム4WDを販売していますが、安心感に包まれた極上の走行感覚は、長年にわたって進化を続けてきたquattro®ならではのものです。
4WDシステムでありながら、システムの軽量化や、高効率なTFSIエンジンとの組み合わせにより、2WD車に匹敵する低燃費を実現。オンロードではスポーティなハンドリングを、オフロードでも頼もしい走破性を発揮します。さらにはハイウェイでは抜群の直進安定性を発揮し、ロングドライブの疲労を軽減。速さと安心感に満ちたドライビング体験をもたらすもの。それがquattro®なのです。
かつて“オフロード車のための技術”と思われていた4WDを乗用車に持ち込んだだけでなく、スポーツドライビングに欠かせない手段として新しい可能性を提案したAudiのquattro®。そのデビューは1980年3月3日、ジュネーブショーに持ち込まれたスポーツクーペ「Audi quattro」でした。翌年、この「Audi quattro」でWRC(世界ラリー選手権)に参戦すると、初参戦で初勝利。その年の10月には、ミシェル・ムートンが女性として初のウィナーとなりました。
ラリーでの快進撃を続ける一方、市販車における「quattro」の適用も拡大。ラグジュアリークラス初の4WDであるAudi V8やモータースポーツで培った技術を市販モデルに投入したSモデルの発売など、常識を打ち破るような挑戦を続けます。さらに、コンパクトモデルのAudi A3やAudi TT、ミッドシップスポーツのAudi R8、SUVクーペのAudi Q8など、魅力的なquattro®モデルを続々と世に送り出してきました。quattro®が切り拓く世界は、これからも広がります。
エンジンのパワーを前、または、後ろのタイヤ2本だけではなく、4輪すべてに伝えるのが4WD=4輪駆動です。では、2輪駆動よりも4WDが優れるのはなぜでしょうか?答えはタイヤのグリップ力にあります。タイヤのグリップ力を有効に使えるのが、4WDの大きな特徴です。
同じ加速でも、タイヤのグリップ力に余裕が生じます。その余裕は、さらに大きな加速に充てることができますし、また、コーナーを曲がるために使うこともできます。こうした理由から、4WDはスポーツドライビングに適しているのです。
エンジンのパワー(トルク)を4輪すべてに伝えるのが4WDですが、クルマが曲がるときや路面の状況によって4つのタイヤのグリップはそれぞれ大きく異なります。Audiがquattro®で目指したのは、そのトルクの伝え方(トルク配分)を細かくコントロールすることで4WDのメリットを最大限に発揮することでした。
quattro®には、最適なトルク配分を実現する“セルフロッキングディファレンシャル”というシステムが搭載されています。これは、電子制御を必要としない純粋なメカニカルなパーツで、通常走行時はフロント50:リヤ50(モデルによってはフロント40:リヤ60)の割合でエンジンからのトルクを配分します。そして、車両の走行状況や路面のコンディションが変化すると、1000分の数秒以内にグリップの高いほうの車軸に、より大きなトルクを配分することで、常にエンジンの性能を最大限に活用します。
加速時などは、後輪により大きな荷重がかかり、それに伴い後輪のグリップ力が大きくなります。そこで、フロントとリヤに伝達されるエンジンパワーを、「フロント75:リヤ25」から「フロント25:リヤ75」の範囲で自動的に調節。各タイヤの負担を軽減し、タイヤのグリップ限界を高めます。これにより、ステアリングコントロール性能を高めたり、アンダーステアの軽減や回頭性の向上など、よりダイナミックな性能を実現しています。
後輪左右にかかる駆動力の配分を、路面状況に合わせて最適になるように常時変化させる先進のシステムです。コーナリングしながら加速するようなシーンで、後輪駆動車であればESCが作動するようなシーンでも、Audiならエンジンの出力を保ちながら力強く加速していくことが可能です。
Audiに革命をもたらした独自の4WDシステムquattroは、ブランドを象徴するテクノロジーのひとつです。Audiは数十年をかけてこのquattroテクノロジーを進化させ、幅広いノウハウを電気世代へと移行しました。完全電動化による理想的かつ駆動マネージメントは、リヤ左右の駆動力配分をアクティブに制御。ダイナミクス、走行安定性の面において新たなレベルに達しています。