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循環型経済

循環型経済

 
 

循環型経済:品質を損なうことなく素材を循環

循環型経済とは、簡単に手に入る一次原料と低コストのエネルギーに依存する直線型経済に代わる仕組みのことです。簡単に言えば、この2つのコンセプトには資源の使い方に違いがあります。直線型経済では原料の処理は一度限りで、使用されたあとに廃棄されてしまいます。一方、循環型経済では原料本来の品質を維持した上で複数回再処理が行われ、製品の生産に何度も利用します。このアプローチにおいて重要なステップとなるのが、部品やコンポーネントのメンテナンス、修理、改修、そしてリサイクルです。循環型経済は、すべての部品が持続可能な形で使用されるという考えに基づいており、特に可能な限り長く原料を使用し、ダウンサイクルされることなく当初の生産目的として使用される場合には、持続可能な形で使用することができます。とりわけ、貴重な資源を再利用することで、重要な一次原料への依存度を減らすことができ、使用済み原料を再利用することで、新たな一次原料を生産するよりも排出量を少なくでき、カーボンフットプリントの削減にもつながります。

こうした理由から、アウディは原料の使用における責任を未来志向の車両生産の中心的な特徴と位置づけています。その目的は、より資源効率に優れ、リサイクルに適した方法で車両を開発ならびに生産し、可能な限り長く使用し続け、可能な限りリサイクルすることにあります。利用段階を終えた車両の素材はバリューチェーンへと戻され、より多くの主要資源を回収し、「クローズドサイクル」によって素材を使用し続け、新しい素材の必要性を減らします。この取り組みにおいてアウディは、削減、再利用、リサイクルの原則に基づく全体的なコンセプトに従っています。

削減:一次原料の削減と利用段階の長期化

削減の原則は、生産工程およびその下流の利用段階における対策も網羅しています。削減の原則の二つの基本的な重要な点として、第一に材料の効率的な使用、第二に例えば車両の修理や再整備を通じて製品のライフサイクルを延ばすことが挙げられます。開発の初期段階では、素材をどのように選択するかが、重要な点となります。一次原料のリサイクル性を念頭に入れた上で車両を設計すれば、後に部品をリサイクルすることも容易になります。これには、リサイクルを可能にするために分離する必要のある異なる素材で構成されていない、いわゆる“モノマテリアル”の使用も含まれます。

削減の原則は生産にも適用され、アウディの環境保護プログラム「Mission:Zero(ミッションゼロ)」の一部でもあります。アウディのロジスティックスの例を挙げると、可能な限り梱包材を使用せず、梱包材が必要な場合は、リサイクルまたは再生可能な資源を使用することが望ましいとしています。2030年からは、新車プロジェクトにおけるリサイクル可能な梱包材の割合を90%以上にすることを目標としています。

再利用:継続的な使用の実現

再利用の原則には4つのアプローチがあります:

再生:中古部品は完全に再加工し、再調整する。

修理:ダメージを受け欠陥のある部品は修理し、再利用可能にする。これは削減の原則とも結びついており、修理によって車両の利用段階を延ばすことができれば、新しい一次原料への依存も減らすことができます。

中古部品:中古部品は事前に再調整せずに、修理車両に使用する。

二次利用:車両コンポーネントは車両以外の用途として再調整する。


以下の対策では、これら4つのアプローチが実際にどのように実行されているかを示しています:

再生:アウディのオーナーは新品部品の代わりに、資源に優しい「アウディ純正交換パーツ」を入手することができます。例えば、Exchange 2.0プログラムにおいては、アウディSトロニックモデルのトランスミッションメカトロニクスに持続可能な再生方法を用いています。

修理:「アウディ純正パーツ修理」プログラムにより、アウディのお客様は不具合のあったパーツの修理を受けることができます。ここではインフォテインメント機器とダッシュボードディスプレイが対象となります。

中古部品:将来的にアウディのお客様は、修理を行うための交換パーツの製品一覧が利用できるようになります。事故後の修理は重要なユースケースです。事故に遭った車両の場合、不具合のある部品をすべて新品に交換することは経済的に難しいことがよくあります。しかし、より手頃な価格で中古部品を手に入れられるようであれば、修理は賢明な選択肢となります。結果として、本来であれば全損となってしまっていた車両を引き続き使用することができるのです。

再生と二次利用:再利用の原則は電気自動車、特にリチウムイオンバッテリーにおいては、とりわけ重要です。高電圧バッテリーは長年使用していたとしても継続的に使用することが可能なため、バッテリーを廃棄してしまうことは環境的にも経済的にも早まった判断と言えます。そのためアウディでは、フォルクスワーゲングループ内で2つの再利用の可能性について追求しています。1つ目は、電気自動車で高電圧バッテリーを継続的に使用する再生。2つ目は、いわゆるセカンドライフコンセプトと言われるもので、例えばアウディの充電ハブである急速充電ステーションなど、電気自動車ではなく他の場所でバッテリーを異なる用途で二次利用するというものです。

リサイクル:新たな始まりとしての終わり

リサイクルの原則は、車両の生産段階と車両の再利用または個々のコンポーネントが使用できなくなるまでの段階に影響する対策を包含します。可能な限り多くの資源を、望ましくは二次原料として車両のライフサイクルが終わりに達するまで再利用し、実質的にダウンサイクルを排除します。

ダウンサイクルとは、リサイクル素材を用いて作られた新しい製品の品質がオリジナルの製品の品質よりも低下してしまうことを指します。アウディはこのような素材の品質低下を防ぐことを目指しています。

そのため、アウディではリサイクルにおいて2つのアプローチを取っています:

利用段階を終えた使用済み車両から二次原料を回収します(使用済み素材のリサイクル)。このような車両はまず個々のコンポーネントに解体され、理想としては品質を損なうことなく、使用済み原料の再生を可能にします。
新車生産工程における二次原料使用の目的は、技術的に可能な限り環境的・経済的に理にかなった形で品質を損なうことなく二次原料を活用することです。
アウディはホットスポットベースのアプローチを取っており、すぐにでも影響を与える素材や部品、例えばアルミニウム、スチール、プラスチック、ガラス、高電圧バッテリーのコンポーネントに焦点を当てています。


プラスチック クローズドループ*¹

スチール:Audi Q6 e-tronの生産では、外装コンポーネントの製造に使用されるスチールの一部に、使用済み車両からリサイクルされた、使用済み素材*¹を使用しています。この素材はルーフ外側の全バリエーションの製造に使用されており、リサイクルされた鉄くずがどのように将来の車両に使用されるのかを初めて見ることができます。

アルミニウム:使用済み二次原料を循環サイクルで維持することに加え、製造過程で不要となった資源もリサイクルします。この点における第一の目的はCO2排出力を削減することにあります。2017年に導入されたアルミニウムの循環サイクルによって、アウディはアルミニウムの責任ある取り扱いを実証しています。プレス工場で生産されたアルミニウムシートの端材は循環サイクルに戻されます。不要となったアルミニウムをリサイクルすることで、一次アルミニウムの生産に必要なエネルギーよりも最大95%削減しています。

プラスチック:一般的に現代の自動車には200kgを超える様々なプラスチックやプラスチック複合材が使用されています。PlasticLoopプロジェクトにより、アウディとプラスチックメーカーのLyondellBasellは、ケミカルリサイクルによって車両用プラスチック混合廃棄物から得られるリサイクル素材を量産に使用するプロセスを初めて確立しました。Audi Q8 e-tronでは、リサイクル処理で生産された安全関連部品、シートベルトバックルのプラスチックカバーに使用しています*²。ここで言うリサイクルとは、機械的・物理的なリサイクルに加えて、ケミカルリサイクルという別の工程を指します。アウディはFraunhofer Instituteと連携し、実験プロジェクトでケミカルリサイクルを研究しています。溶媒でプラスチックを溶かす第一段階から、さらにいくつかの段階を踏み乾燥させることで、純度の高い新品同様のプラスチック顆粒ができあがります。

ガラス:Reiling Glas Recycling、Saint-Gobain Glass、Saint-Gobain Sekuritとともに、アウディはGlassLoopプロジェクトにて、リサイクルされた素材をいかに市販モデルの生産に組み込めるかを実証しました。パートナー企業とアウディは、ダメージを受けた自動車のガラスから新しいフロントガラスを製造する方法をテストしています。2023年9月以降、Audi Q4 e-tronの生産には、リサイクル素材で作られたフロントガラスが使用されており、このフロントガラスには、ダメージを受け修復不可能な自動車の窓ガラスから最大30%のリサイクル素材が使われています。パートナー企業との協業により、アウディはこの種のガラスリサイクルを確立した初めてのプレミアム自動車メーカーです。

バッテリー:フォルクスワーゲンAGはグループ全体で、バッテリーのリサイクルコンセプトに取り組んでいます。またグループでの包括的な循環サイクルのために、バッテリーのバリューチェーンにおける多くの関係者と戦略的なパートナーシップを模索しています。その目的はアルミニウム、銅、プラスチックに加え、リチウム、ニッケル、マンガン、コバルトなどの貴重な原料をクローズドループで工業的に回収することです。それに伴い、フォルクスワーゲングループコンポーネンツは2021年初頭に、ザルツギッターにグループ初となる高電圧バッテリーのリサイクル工場を開設しました。

使用済み車両のリサイクル:共同プロジェクトMaterialLoopにより、アウディは2022年から2023年にクローズドマテリアルループに向けた次のステップを踏み出しました。研究、リサイクル、供給部門のパートナー企業15社とともに、アウディは新車を生産するために、100台の使用済み車両から回収した素材の再利用を研究しました。特にスチール、アルミニウム、プラスチップのリサイクル性について検証しています。


生産工程の段階で排出される端材など不要となった二次原料の再利用とは対照的に、使用済み素材(例えば、使用済み車両から回収した素材)を処理するのは困難です。使用済み車両には様々な素材が混在しており、解体、破砕、再仕分け(ポストシュレッダー技術と呼ばれる)といった時間のかかる連続的な工程を経てから分離をし、再生する必要があります。パイロットプロジェクトでは、このループの技術的な実現可能性をテストし、成功を収めています:このプロジェクトを通じて、アウディは使用済み車両から回収したアルミニウムの60%以上、スチールの85%以上を新車の生産に再利用することができました。

これにより、このアプローチが技術的に実現可能であることが実証されました。後継プロジェクト(2023年8月に始動)にてアウディは、将来的にこの技術コンセプトをより大規模に実施するためのビジネスモデルを開発中です。

*1  「サーキュラーエコノミー戦略」の一環として、アウディでは車両に使われる様々な部品のリサイクル素材(いわゆる“再生材”)の割合を継続的に高める努力をしています。アウディはAudi Q6 e-tronから、最終消費者が使用した製品からリサイクルされた鉄くず(使用済み素材)をボディ部品の製造に使用しています。

Audi Q6 e-tronの全バリエーションのアウタールーフパネルの製造に使用されるスチールは、使用済み車両から回収した鉄くず15%を使用した生産工程から生まれています。これにより、アウタールーフパネルの製造に使われるスチールには、使用済み素材の平均含有率が15%になるよう、スチールの生産工程に十分な鉄くずが加えられています(いわゆる“マスバランスアプローチ”)。しかしこれは、Audi Q6 e-tronの個々のアウタールーフパネルにおいては、使用されている鉄くずの割合が15%未満であることも意味しています。

*2  シートベルトのバックルカバーに使用されるプラスチック粒状物(充填剤や添加剤を含む)には、リサイクルプロジェクトで生産された熱分解油から生成されたプラスチックが少なくとも70%含まれています。この熱分解油はプラスチック顆粒の製造プロセスで追加されます。プラスチック顆粒に熱分解油を混合するプロセスは、認証を受けたクレジットトランスファーシステムを適用した、マスバランスアプローチの一環として行われます。これは、シートベルトのバックルカバーに必要な量の化石資源が、自動車用混合プラスチック廃棄物から製造された熱分解油に置き換えられたことを、外部認証機関であるecocycleのプロジェクトメンバーによって確認されたことを意味しています。現在計画されている生産台数に基づいて、Q8 e-tronの全生産に十分な量の熱分解油を生成する予定です。

 
Mission:Zero

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Audiは、2025年までに全世界の工場を完全にカーボンニュートラル化することを目指しています。
Audiが推進するサステイナビリティ

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Audiは持続可能な社会の実現に向けて、様々なアプローチでサステイナビリティに貢献しています。
Press Release

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